イネス・パイス (リスボン) Go to Ines Pais Homepage 1. Chixuania 2. The IP Foundation
1. イネス・パイス ヒッチハイク・プロジェクト (ファンジン・スペシャル・イシュー)
2. チクアニア・シリーズ
3. I-P Zines
1. イネス・パイス ヒッチハイク・プロジェクト (ファンジン・スペシャル・イシュー)
私は旅をはじめた時、個人的な意味で、そして文化、社会的な面において、自身の能力の限界と地平が開けていくのが感じられました。自分を発展されること、自分の精神を豊かにすること、そして自身を新しい外面に投影すること、これが旅をすることの究極の目的なのです。旅をする事は、外国人としての私の状況や、私たちの世界で喧伝させられているいろいろな意味での“外国っぽさ“というものに私自身を反映するのを促してくれます。
あなたは道中、度々名前を聞かれる事になるのですが、誰もその名前をしっかり発音する事が出来ない為に、聞いた側のみなさんもすぐ忘れてしまいます。聞きなれない外国の名前に驚いた現地の人々は、常にあなたの出身地を尋ねる事になります。そこで返事をすると始まります:彼らの精神は、比較的自由で、それでいて一貫性のない方法の内部での言語と意味に結びつきます。彼らはあなたを、他の記憶と、あなたの国が彼ら自身とどう関係しているかという枠組みの中で結び付けて理解しようとし始めます。彼らがあなたに対してどんな枠組みをもっているのか、あなたには見当もつきません。
彼らはあなたを、彼らが知っている、そして聞いた事がある、もしくはほとんど知らないであろう文化と結びつけて判断します。彼らはあなたの名前を忘れてしまいますが、あなたがどこの国から来ているかは覚えています。あなたの出身地の国名が、いわばあなたの苗字になってしまい、手っ取り早いコミュニケーションの手段になってしまうのです。私の興味は、国籍というのはそんなに重要な問題なのかという事です。そして、どうして国籍を尋ねるのが名前を聞くのと同じくらいありふれた質問になってしまったか、という事です。
私が述べたような身元照会の枠組みをアート業界で見てみると、あなたの国名があなたの年齢、興味対象、展示やあなたの受賞した賞よりも妥当な評価になっています。あなたの国籍は通常、履歴書、プレス・リリースや展示場において、あなたの名前のすぐ後ろに書かれます。彼らは、あなたの作品をあなたの国で起こっているアート・ムーブメントのサンプルとして想定しているのです。まれに、自身の国籍を名刺にまで書いている人がいます。国籍というのは、未だに何らかの共同幻想を強化する方法として使われているのです。
アーティストとしてあなたは、社会の中に存在しているモデルの中に自らを置くのではなく、あなた自身の方法によって表現する事が必要になります。もちろん最終的にはあなたは社会の中に存在しているモデルに順応しなければならないのですが、それは本当に厄介です。あなた自身の存在のモデルをどうやって見つけるか、そしてすでに存在しているモデルにどう順応するか。究極的には、あなたはバランスを保ちながら、あなたの意思を守らなければなりません。もしもあなたが国際的なレベルで活躍しており、あなたに影響を与えているものが一箇所から来ているものでないとするならば、あなたは自身が持っているモデルを守らなければなりません。
そこで私たちは、あなたがあなたの国の文化を象徴しているという古い考え方からどうやって抜け出せばいいのでしょう?どうやって他人の無知や偏見から身を守ればいいのでしょう?人々があなたをカテゴライズしようとする時、どうやってアイデンティティを保てばいいのでしょう?また単純に、どうやったらあなた自身になれるのでしょう?
あなたがこの問題にアプローチする時、あなたの国のプライドを見せつけないのと同様に、あなた自身のナショナリティを忘れてはなりません。あなたはそれを、もちろんあなた自身のものとして受け入れなければなりません。しかし私たちは、他者があなたをカテゴライズするという事態に対抗する可能性を持っていないのでしょうか?私たちは私たちの国籍に対する自立性を断言できないのでしょうか?
チクアニアはIPファンデーションによって作られた想像上の国です。それは全個人のユニークさ、そして全個人のある程度のプライバシーを象徴化します。チクアニアには形がありません。それは自由な場所なのです。それは中立であり、中立であり続けるはずです。それはどんな国にも位置しており、話されている言葉はあなたの母語です。それはそれを知っているすべての人に属しています。だれでも皆、個人的な経験、好み、恐怖や彼ら自身の個人的なビジョンにおいてチクアニアと関係する事ができます。チクアニアはまた歴史、習慣、家族の態度、氏族、文化などとリンクしたままどれだけ個人は独立したアイデンティティを宿す事で自由になるか、という心理学的、文化人類学的なリサーチの手段でもあります。
チクアニアは理想郷についてであり、イメージする事が全ての存在の一部であることについてです。「どんな事でも起こりえる」という事についでです。これは学習のプロセスであり、そのプロセスは最終的に私たちを導き返します。
最新の土地にようこそ。
イネス・パイス
IPファンデーション ディレクター
2. チクアニア・シリーズ
このチクアニア・シリーズでは、イネス・パイスがヒッチハイクプロジェクトの過程にて製作したポスターを配布します。これらのポスターは無償配布され、それにより受取人の知覚を違う位相に発展させます。このプロセスはG(Gelt=お金)-W(Waren=商品)の間の根本的な繋がりを脱構築し、トロブリアント諸島のクラ貿易の様な新しい贈与の体系を創造します。そう、チクアニアは売り物の国ではないのです。
3. I-P zines
IPファンデーションは雑誌I-Dの表紙をリサイクルし、それをI-Pへと変形しました。毎回この「ザイン」では、一人のアーティストがカバー・スターとしてポーズをとっています。全てのアーティストは一つのテーマを決めて、そして次のアーティストを紹介します。I-Pは終わりのないアート/ファッションプロジェクトです。
(C) Copyright Shinya Watanabe