実行委員会プレゼンツ:

美術展覧会: 「アトミック・サンシャインの中へ - 日本国平和憲法第九条下における戦後美術」
キュレーター: 渡辺真也

会場:Puffin Room (ソーホー, New York)
435 Broome St
New York, NY 10013

会期:2008年1月12日土曜日 - 2008年2月10日日曜日

オープニング・レセプション:2008年1月12日土曜日 午後6-8PM

参加アーティスト(アルファベット順)

ヴァネッサ・アルベリー
ジェニファー・アローラ & ギレルモ・カルサディーラ
コータ・エザワ
エリック・ヴァン・ホーヴ
松澤宥
森村泰昌
大浦信行
オノ・ヨーコ
下道基行
照屋勇賢
柳幸典

特別イベント:

1月19日土曜日 5PM- (無料)
ドキュメンタリー・フィルム上映会 「White Light, Black Rain」
ステーィブン・オカザキ監督による、広島・長崎への原爆投下に関するドキュメンタリー
+ 舞踏パフォーマンス(Vangeline Theater Co.)

1月25日金曜日 7PM-
アコースティック・・ライブ・ミュージック
羽鳥美保 + Special Guest


オープニング・レセプションの写真はこちら

 

展示コンセプト:

日本国憲法は、1947年、アメリカ占領軍によって実質的に書かれた歴史がある。そして平和憲法として知られる第九条には、主権国家としての交戦権の放棄と戦力不保持が明記されている。

1. 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

この世界的に見ても非常に珍しくユニークな憲法上の平和主義の規定は、アメリカのニューディーラーの理想主義が反映されている。この平和主義を含んだ新憲法は、第二次大戦の苦しみを経験した当時の日本の一般市民に受け入れられ60年間改正されることなく今日に至るが、アジアの不安定化とナショナリズムの高揚と共に、この平和憲法の基盤である第九条が、現在、その存在を問われている。

美術展覧会「アトミック・サンシャインの中へ - 日本国平和憲法第九条下における戦後美術」は、日本国憲法改正の可能性を目前とする今、戦後の国民・国家形成の根幹を担った平和憲法と、それに反応した日本の戦後美術を検証する試みである。

憲法第九条は、戦後日本の復興と再形成に多大な影響を与えたのみならず、60年間他国との直接交戦の回避を可能にした。しかし、九条を持つことで日本は直接交戦から回避することに成功したが、日本の実質的戦争協力は、第九条が保持される限り、ねじれた状況を生み出し続ける。この日本の特異な磁場から、多くのアーティストたちは取り組むべき新たな課題を発見し、彼らの芸術に表現してきた。日本の戦後やアイデンティティ問題などをテーマとした美術作品の中には、戦後の問題、アイデンティティ問題、また憲法第九条や世界平和をテーマとしたものが少なくない。

アトミック・サンシャインとは、1946年2月13日、GHQのホイットニー准将が、吉田茂とその側近であった白洲次郎、憲法改正を担当した国務大臣の松本烝治らと行った憲法改正会議のことである。ここで、ホイットニー准将は保守的な松本試案を一蹴し、GHQ民政局の憲法試案を「日本の状況が要求している諸原則を具体化した案」で、マッカーサーの承認済みのものだと説明した。その後、アメリカ側が公邸の庭に下がり、英文を読む時間を日本側に与えたのだが、その際、英語に長けた白洲次郎が庭に出てアメリカ人のグループに加わっていくと、ホイットニー准将は白洲にこう言った。 「We have been enjoying your atomic sunshine.」

この一言で、ホイットニー准将は日本側に、戦争の勝者・敗者を明確に思い起こさせ、さらにGHQ草案に示された諸規定を受け入れることが、天皇を「安泰」にする最善の保障であり、もし日本政府がこの方針を拒否するならば、最高司令官マッカーサーは日本国民に直接この草案を示す用意がある、と発言した。その後、この憲法改正における日本国とGHQの会議は「アトミック・サンシャイン会議」と呼ばれるようになる。このGHQ草案に添った形で修正した内閣案が、最終的に1946年11月3日に日本国憲法として公布された。

展示の目的

世界的に見て、憲法第九条は非常にユニークなものでありながら、その存在そのものが意外と知られていない。そこで、この展覧会を通じ、日本の戦後美術のみならず、日本国憲法第九条を、ニューヨークの聴衆に紹介する。また、この平和憲法の成り立ち、そしてその為に日本が戦後60年間、直接的交戦における犠牲者を出してこなかったという歴史的意義と重要性を検証する。

キュレーターによるステートメント:

戦争の世紀からの脱却 - ヨーロッパ近代の超克としての憲法第9条

 

展示カタログ販売中

 

助成:花王芸術・科学財団、朝日新聞文化財団、パフィン・ファンデーション

メディア・パートナー:ART iT, GENERATION TIMES

機材サポート:Daneyal Mahmood Gallery

 

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